鉋のレストアその⑦〔旭正宗&市弘〕編

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『市弘』鉋の台レストアつづき

『市弘』鉋の台は、鉋のレストアその②以来なので、だいぶあいてしまいましたね😅

まあ、刃の方はほとんど仕上がっているので、台に集中してやれます。

で、刃を差し込んでみたところ・・・めっちゃ、ゆるゆるやん😨そういえば、最初手に入れたときには、背中なじみのところに、はがきみたいな厚紙が貼ってあったっけ?

背中なじみをひと削り

このままではだめなんで、背中なじみの部分になにか貼らねばなりません。その下準備で、汚れている面をひと削り。使っている道具はホビー鉋の刃です。これ、便利。

白樫の削り屑

背中なかじみを埋めるものを何にしようかと考え、木の台なので木で埋めようと、白樫の端材を鉋で厚めに削ったものを貼ることにしました。

削りに使った道具はスタンレーの古い鉋で、刃は曼荼羅屋さんで購入した西洋式鉋刃に替えてます。この刃は鋼と地金の二層鋼になっていて、とてもよく切れます。

サイズに合わせて貼る

いくつか形のいい屑を選んでボンドで貼ります。結構すきまがあったから、3枚重ねで貼りました。0.5㎜厚くらいになったかな?

固定

斜めのところに貼るから、押さえるのにもひと工夫。クランプ一つは横から挟んで、実際に材料を押さえるクランプの足掛かりにしました。

この状態で、乾燥するのを待ちます。

乾燥後余分のカット

翌日、クランプを外して、飛び出た余分をカットしました。

光が漏れてる

刃を入れてチェック。緩みはだいぶなくなったけど、まだ光がもれるねぇ。

木っ端返しの加工

背中なじみを直すのはもうちょっとかかりそう、まあ、一応刃は固定されるから、先に木っ端返しの方を作っていこうと思います。

前に埋木をした部分の先端、口側に刃が通るように切ります。刃口当て木をして、鉋刃を叩き込み力業でカット。

みごとに刃が通りました🎉ところがどっこい、刃先が欠けるという・・・なにかに当たった?😱

画像ではよくわからないかもしれないけど、刃の中央ら辺にコンマ数ミリの欠けがあります😨

まあ・・・研ぎ直すしかないね。

背中なじみの修正

研ぎ直した

えー、割愛していますが、研ぎ直しました😓

背中なじみをしっかり調整することにします。ちなみに背中なじみの厚みもさらに追加しています。

鉋刃に鉛筆をべったりと塗りつけます。それから刃を台に入れて、出すと、背中なじみの高い部分だけに鉛筆の色が移ります。その黒く色のついたところを少し削り、また、鉋刃を出し入れするを繰り返せば、次第に刃と背中なじみの密着性が高まるということです😃

全体的に鉛筆の跡が移れば刃が密着している証拠。刃もしっかりとはまるように・・・なったような😧?

刃口、木っ端返しの調整

刃口の調整

つづいて刃口を広げて、削ったときの屑が排出されるようにします。薄削りする人はこの隙間を0.5㎜以下にするようですが、おいらは大体1㎜でやっています。屑が詰まってしまうことも考慮すると、普段使いにはこれくらいがいいかと🧐

画像はノギスを利用したスミ付け。口から平行の場所に定規を固定して、刃口から1㎜離れたところへ正確なスミを出します。

75度ガイド

ノギスで出したスミに75度でカットしてあるガイドを取り付けます。

木っ端返しは、刃と裏金を合わせた部分に平行な角度にするというのもあるらしいですが、おいらはだいたい75度でカットしています。あとは屑の排出具合を見て微調整するのが丁寧な仕事、なんですが、大概は75度で済ませちゃってます🤯

ガイドに合わせて75度にカットしていきます。ダボ切りノコである程度切ったら、ノミで丁寧に削っていきます。最後は木工ヤスリで仕上げました✨

刃を収めたところ

刃を入れて、隙間の具合を確認。いい感じだと思います👍

裏金の調整

裏金を入れたところ、かなり緩い・・・🤨おかしいな。元々使っていたにしては、あまりにも合わない。

しょうがないので、裏金の耳の部分の曲げを強めます。金床に裏金を当てて、耳の部分を金づちで叩いて曲げる。ところが、これがなかなか曲がらない・・・最初は120匁(450g)の玄翁で叩いていたのですが、まったく曲がらず。途中からポンドハンマー(約600g)で叩いてもまだ曲がらず。

どうにも裏金が分厚すぎるようなので、金鋸で切り目を入れてから叩いて曲げました🥵

押さえ棒の交換

裏金の耳をかなり曲げても緩いので、さすがにこれはないなと・・・。やっぱり台と刃があっていない別物をセットにしていたようです。こうも背中なじみも裏金も合わないで、使用できるわけもないねぇ(もっと早く気づけよってレベルです😂)。

丁度手持ちにあまっていた押さえ棒のしっかりとしたものがあったので、交換して、隙間を狭める作戦にします。

押さえ棒の交換

押さえ棒を太い物へ交換しました。穴あけ加工中、劣化している台の側面の黒ずんだ部分にひび割れが生じてしまったので、ちぎりで補強しました。色々と手間がかかりすぎる😥状態の悪い台は直しても直しても悪いところが出てきてしまう・・・。

裏金のガタ取り

刃も収まってきたので、最後に裏金のガタを取ります。

鉋刃と刃先をそろえて、曲げた耳のところを軽く指で叩きます。この時にガタがあればカチカチとなるので、左右の耳がそろうようにまたハンマーで叩いて、ガタがなくなるまで少しずつ調整するっす🔨

鉋台下端の台直し

台直し器

一通り刃まわりのレストアも進んだので、台下端の調整をしていきます。ここも台鉋で重要な部分の一つ。どんなに刃が切れても、台が歪んでいたら削れないから😅

そこで、まずは台下端の平面を出します。あらかじめ西洋鉋でひと削りしていても、まだ正確な平面になっていないから、この面直し器で削っていきます。

この面直し器は、平面精度の出ている人口石にペーパーヤスリを貼り付けて使う物。おいらが使っているものはミニサイズだけど、普通サイズならAMAZONなどでも手に入るよ。

鉋の下端全体に鉛筆で塗ります。これを面直し器にかけて、チェック。鉛筆が残っている部分は削れていないから、全体が削れるまで面直し器にかけます💪

ヤスリにかけるのに鉋の刃が入っているのはよくないのでは?と思うかもしれないけど、日本の鉋は繊細なので、刃を入れている状態とそうでない状態で、下端の形状がわずかに変わってしまうのです。

なので、刃がギリギリ出ないように引っ込めた状態で平面にしておかないと、削れない台になりかねません😮

下端の仕立て

下端が平らになったら、一部を残してさらに削ります。

平らになったなら使えるじゃないの?とも思うし、実際、金属製の西洋鉋なんかは底をフラットに仕立てればOK。たぶん日本の鉋も下端が真っ平であれば使えるはず。

でも、そうしないのは、一つは削るときの接触面を減らして抵抗を少なくするということ。

もう一つは、木でできている台は時間とともに変形してしまうので、使うときに鉋台の上から圧力をかけ、僅かにたわむのを利用して、少しの狂いならば解消してくれるという緩衝効果としての機能だと思う・・・本当か?😲

まあ、こまかいことはおいといて🤯この台の仕立てをやっていきます。台下端の台尻、台頭、刃口のところへ15ミリ(5分)ずつスミを出します。

この幅は差金の幅をそのまま利用していて、ちょっとしたことに便利なのでよく使います。だから、鉋に出すスミは12ミリでも20ミリでも、好みで構いません。

出したスミ線の15ミリ分を残して、薄く削っていきます。この削る量は、鉋の用途に応じて変わるんだけど、今回のは中仕工(なかしこ)という中仕上げ程度のものにするので、0.2~0.3ミリ程度にします。

残す部分も大工さん用途は3か所で、家具職人さん向けは台頭もところも削って、2か所残しにするみたい🤔

削る道具は台直し鉋(立ち鉋)を基本に使います。この鉋は刃が垂直についていて、刃で切り進むというより削り取る感じになります。こいつでスミをしたところ以外をザクザク削る。削るときは鉋に対して横方向に削ります。

ほぼ台直し鉋で作業は完結できるのだけど、おいらはうまくないので、カードスクレーパーで仕上げます。スクレーパーで台直し鉋でできたナイフマークを消して、スミ線のキワまで仕上げます。

あと、忘れてはいけないのが、刃口の横の部分。ここをノミで薄く削り取ります。

光に透かして確認

削る厚みは僅かなので、作業の確認は真っ直ぐな棒を鉋台に当てて、光に透かして見るです。

画像のものは、棒がそこまで真っ直ぐでなかったのでちょっと不正確ですが、大体は削れています😅

これでほぼこの鉋は仕上がったかな?と思ったのですがトラブルが・・・。

今回は長くなってしまいましたので、このつづきは次回に。

次回で、この『市弘』を仕上げます👋

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